暑い図書館2

国破れても山河あるやんけ

Marc Benno-Lost in Austin


Marc Benno - Lost in Austin

個人的に考えているレコードの価値というのはそのモノ的側面の強さだ。単純にその重量と大きさが所有している感覚を増強してくれるから、コレクション要素がCDよりも強い。

だからレコードにはすべて価値があると考えているのだけれど、私が所有しているレコードのうち、本当に価値が高いと思っている盤がいくつかある。

このMarc BennoによるLost in Austinもそのうちの一枚だ。

なぜ価値があるかという理由はシンプルで、apple musicでは聴けないしCDも持っていない、つまりレコードでしかアルバムを聴くことができないからだ。(ただしYoutubeにはupされている、全曲ではないけどね(そのチャンネルがまたいい曲ばかりアップロードしているいいチャンなのだ))

 

このアルバム自体はMarc Bennoによる4作目1979年のソロアルバムで、3作目のAmbushが1972年に発表されて以来7年ぶりとなる作品である。1979年っぽくない1979年の作品だと思う。79年といえばどんな音楽だろうと思い「1979年 音楽」で調べるとABBAやラジオスターの悲劇、クラッシュにAC/DCまで出てくる。当時のMarc Bennoが32歳ということだけどスワンプの時代はもうほとんど終わったようなころだ。

そんな時代にこんなにも泥臭く、気怠いアルバムを出すということは、時代に迎合しないとか、我が道を行くとかそういう言葉で現わされるものではないように思う。調べてみると3作目と本作の間にMarc Bennoの実兄の自殺があり、かなり参っていたそうだ。そういうガラリと生活に影響を与える出来事が起きたにも関わらず、本作は3作目と同じ匂いが聴こえてくるのだ。

例にもれずイントロだけで五臓六腑に染み渡るとしか言いようのない音が聴こえてくる。こういう感覚になる曲というのは本当に少なく、ほかに挙げるとすれば高校生の頃に出会ったストーンズのLike a Rolling Stone(ライブ盤)やJoe CockerのSpace CaptainとかPaul Butterfield のPlease send me someone to loveとかJazz CrusadersのHard Timesなどだろう。

Laid Backという言葉はこういう曲に使われ、日本語にすると「のんびり」だ。Greg Allmanが作った言葉だと思っていたのは私の勘違いであった。

のんびり、実にぴったりな言葉だと思う。

クレジットは以下のようになっている。クラプトンがこの界隈に名前があることは私個人としては少し感慨深いものがある。それはまた別のときに書いてみよう。

Marc Benno: Guitar, Piano, Vocal 

Albert Lee: Guitars

Erick Clapton: Guitars, Slide Guitars

Jim Keltner: Drums

Dick Sims: Keybords

Carl Radle: Bass

Dickie Morresey: Saxophone

 

(あと、レコードやCDを買うとストリーミングとは違ってジャケットの裏面とかライナーノーツとか見れるのもいいですよね!)