暑い図書館2

国破れても山河あるやんけ

子どもが産まれた日①

 

8月20日深夜2時、産気づいた妻と陣痛タクシーで病院へ向かい、妻はそのまま入院。

最初の診察は同席できたものの、あとはほとんど待合室で待機。帰り際に、看護師さんから「飲み物を買ってきてください」といわれ、自動販売機でお水2本とお茶1本を購入する。そういえばあの水、100円で「○○病院水」て書いてあった。金の豚の貯金箱に入れようねと話していた500円玉で飲み物を買った。

 

コロナウイルス蔓延防止のため私は立会いも面会もできないため、いったん帰宅した。

自宅に向かうタクシーの中で、妻を通じて医師から電話があり、出産にあたっての(一般的な)リスクの説明を受けた。この電話がline通話でかかってきたため、速度制限中の私のスマホでは若干とぎれとぎれの音声となってしまい少し焦る。

タクシーを降りて自宅マンションへ到着。エレベーターに入ると電波が完全に途切れてしまうので、電話を受けながら数階分を階段で登る。

電話が終わり一息ついてからは、アレサのAmazing Graceのアルバムを流した。1曲目のMary, Don't You Weepの冒頭で、ゴスペル隊が静かにリズムパートを歌い上げていく様は、赤ちゃんがちょっとずつ産道を進んでいくようだなぁなどと思いながら。

 

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このときがちょうど朝の4時ぐらいで、日の出はまだだが、地平線の奥では既に登っているであろう太陽が、私のいる場所付近の雲を真っ赤に染めていた。曲がAmazing Graceになったとたんに太陽が顔を出したので、あまりのタイミングの良さに、「やっぱり神様はいてはるんやなぁ(似非関西弁)」と思ったりした。

 

Egberto Gismonti Group /Infância(1991)

 
 
 
 
 
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子供が生まれたら一番最初に聴かせてあげたいアルバム。

Hermeto Pascoalと並んで現代ブラジル音楽の最高峰と呼ばれるEgberto Gismontiオジイちゃんのアルバムである。

ECMではよく言われることだが、このアルバム、本当にジャケット通りの音がする。それはちょうど春先のこの季節に聴くからかもしれないが、少し冷たいけど明らかに爽やかになった風に吹かれる情景が思い浮かぶ。

アルバム冒頭曲はGismontiお得意の14弦(10弦?)ギターを軸として、他のパートが絡むことによって緊張感が高められては弛緩することを繰り返す構成。この1曲目であっという間にアルバムに引き込まれてしまう。grabbed my heartって感じがぴったりだ。

 

文句のつけようのないアルバムに思うが、一番のお気に入りの曲はA-4のアルバムタイトル曲だ。アルバムで聴くより先にYouTubeで見てしまったのだが、音質がかなり悪いにも関わらず衝撃的な演奏だった。ちょっと見てくださいよ。


www.youtube.com

 

この映像を見たときに、「ここを押したらどんな音が鳴るのかな?」と鍵盤を叩きまくる子どものように感じた。出る音出る音に好奇心が向けられていて、「演奏を楽しんでいる」という状態の極致を見たと思った。

 

 

 

 

 

Charles Kynard/Reelin' with the Feelin'(1969)

 

f:id:s-kazuaki:20210119211119j:plainここ最近の大当たりのCharles Kynard。カイナードと読むのかな?

60年~70年代に活躍したオルガン奏者です。とにかくファンキー。カッコいい。

このアルバムの内容は知らなかったのだけど、事前に別のアルバムを聴いていて、「あ、この人のアルバムなら何買っても間違いないな」と思っていたので、吉祥寺ディスクユニオンのジャズ館で購入。

ボク自身のジャズへの入り口はJazz Crusadersだったので、当時は知らなかったのだけどもファンキージャズ、ソウルジャズなるジャンルに非常に親和性があると思う。ビートがグルーヴしているってカンジが大好きなんですわ。

そしてなんとこのアルバムのテナーサックス、Wilton Felderはクルセイダースのメンバーだったのです。参加メンバーを調べると私自身は知らなかったのですが錚々たる面々のよう。

テナーサックス:Wilton Felder

ギター:Joe Pass(この人は名前だけ知っていました。カッコいい!)

ベース:Carol Kaye

ドラムス:Paul Humpherey

ギターもドラムもノリにノッていて最高に歯切れいい部分と最高にねちっこい部分が混ざり合っている。そして個人的にビビット来たのはベースのCarol Kayeさんです。

 

僕の家はマンションの中階(こんな言葉あるのか?)なので夜なんかは音量に結構気を付けているのですが、このアルバムをかけると「あ、ちょっとベース響いちゃってるかも」と思って少しずつ音量を小さくしてしまうのです。

そりゃお前ベースの良さじゃなくてベースの音が大きいだけだろと言われるかもしれません。そうかもしれません。しかし、ボク自身の悪い癖というか癖がないところが悪いと思っているのですが、ベース音をあまり気にしない聴き方をしがちなのです。

そんなボクが音量を気にしてしまうぐらいに前面に感じるベースなのです。調べてみるとこの人も相当なプレーヤーのようなので、これからいろいろ聴けることが楽しみですね。

買ったレコードはなぜか未開封で、ボク自身初めてレコードの開封を経験しました。

 


Charles Kynard – Reelin' With The Feelin' 1969 FULL ALBUM

 

 

吉祥寺で本当は欲しかったのはこっち↓のレコード。これもマジでいいアルバムだと思う。


Charles Kynard – Wa Tu Wa Zui 1971 FULL ALBUM

Marc Benno-Lost in Austin


Marc Benno - Lost in Austin

個人的に考えているレコードの価値というのはそのモノ的側面の強さだ。単純にその重量と大きさが所有している感覚を増強してくれるから、コレクション要素がCDよりも強い。

だからレコードにはすべて価値があると考えているのだけれど、私が所有しているレコードのうち、本当に価値が高いと思っている盤がいくつかある。

このMarc BennoによるLost in Austinもそのうちの一枚だ。

なぜ価値があるかという理由はシンプルで、apple musicでは聴けないしCDも持っていない、つまりレコードでしかアルバムを聴くことができないからだ。(ただしYoutubeにはupされている、全曲ではないけどね(そのチャンネルがまたいい曲ばかりアップロードしているいいチャンなのだ))

 

このアルバム自体はMarc Bennoによる4作目1979年のソロアルバムで、3作目のAmbushが1972年に発表されて以来7年ぶりとなる作品である。1979年っぽくない1979年の作品だと思う。79年といえばどんな音楽だろうと思い「1979年 音楽」で調べるとABBAやラジオスターの悲劇、クラッシュにAC/DCまで出てくる。当時のMarc Bennoが32歳ということだけどスワンプの時代はもうほとんど終わったようなころだ。

そんな時代にこんなにも泥臭く、気怠いアルバムを出すということは、時代に迎合しないとか、我が道を行くとかそういう言葉で現わされるものではないように思う。調べてみると3作目と本作の間にMarc Bennoの実兄の自殺があり、かなり参っていたそうだ。そういうガラリと生活に影響を与える出来事が起きたにも関わらず、本作は3作目と同じ匂いが聴こえてくるのだ。

例にもれずイントロだけで五臓六腑に染み渡るとしか言いようのない音が聴こえてくる。こういう感覚になる曲というのは本当に少なく、ほかに挙げるとすれば高校生の頃に出会ったストーンズのLike a Rolling Stone(ライブ盤)やJoe CockerのSpace CaptainとかPaul Butterfield のPlease send me someone to loveとかJazz CrusadersのHard Timesなどだろう。

Laid Backという言葉はこういう曲に使われ、日本語にすると「のんびり」だ。Greg Allmanが作った言葉だと思っていたのは私の勘違いであった。

のんびり、実にぴったりな言葉だと思う。

クレジットは以下のようになっている。クラプトンがこの界隈に名前があることは私個人としては少し感慨深いものがある。それはまた別のときに書いてみよう。

Marc Benno: Guitar, Piano, Vocal 

Albert Lee: Guitars

Erick Clapton: Guitars, Slide Guitars

Jim Keltner: Drums

Dick Sims: Keybords

Carl Radle: Bass

Dickie Morresey: Saxophone

 

(あと、レコードやCDを買うとストリーミングとは違ってジャケットの裏面とかライナーノーツとか見れるのもいいですよね!)

 

The Allman Brothers Band, At Fillmore East, 1971

Asylum Records(アサイラム・レコード)とはアメリカのレコード会社である。

ボブディランやイーグルス、それにトムウェイツやジャクソンブラウンなど著名なアーティスト・グループがレコードを発表している。

私がFacebookでいいね!をしている名盤・迷盤発掘隊グループのメンバーの投稿に「Asylumに外れなし」という言葉があった。その通りだ!と思ったものである。

ある程度の自分の音楽の好みがわかってくるとレコード会社単位で音楽を聴けばすぐに最高の楽曲に出会うことができて効率が良い。(効率が良いなんて文化の文脈とは相性が悪いけれど、そんなことは気にしなくていい)

私の他に好きなレコード会社といえばcapricorn recordsだ。Allman BrothersやMarshall Tucker Bandなどサザンロックを代表するバンドを数多く輩出している。Marshall Tucker Bandなんかは偶然もあるけど4枚もレコードを持っている。

Fillmore Eastのライブ盤は名盤中の名盤。もちろんレコード持っています。確かレコード・コレクターズのロックライブアルバムランキングでは堂々の1位だったと思う。


The Allman Brothers Band - Statesboro Blues ( At Fillmore East, 1971 )

この曲はもともとBlind Willie McTellが1920年代に歌ったもの。お母さん起きて!と始まり悲哀たっぷりな歌詞が続くのはさすが戦前ブルースといったところだ。Taj Mahalのカバーを聴いたAllman兄弟がさらにカバーをし、まさにBluesが受け継がれていくのであった。

1曲目のイントロで度肝を抜くというのは音楽アルバムで最もカッコいいことだと思う。すぐにギターで真似したくなっちゃうような感じで。

しかし本当に痺れるイントロだ。感無量。

 

 

 

 

 

いい感じ/ええ感じ

調子の良いいときに「ええ感じ」と頭に思い浮かぶことが、京都にいた自分が確かまる小さな誇りであった。(確かまるなんて日本語はあるのか)

 

時間が経ったからなのか、今日みたいな天気も良く勉強もちょっとずつ進んでいるこの感覚は紛れもなく「いい感じ」だ。

この感じは上田正樹のいう「ごっつええ感じや」ではないなと、少し寂しいけどね。

 

crusadersは京都にいた頃から聴いていたけど、jazz crusadersは東京に来てから聴き始めた。そして1970年前後、あのFusionが生まれるか生まれないかの瀬戸際の時代のcrusadersが好きなんだと分かった。


Hard Times

 

 

 

【Records2】The Last Waltz

The Last Waltzは1976年に行われたThe Bandの解散コンサートのことである。

超がつくほどの豪華ゲストを迎え、映画としても記録された伝説的なコンサートである。

2018年に東京へ出てきた際に、再上映があるとのはなしを聞きつけ、慣れない渋谷の街へ繰り出したことをよく憶えている。

収められたどの曲が好きかと、もともとThe Night They Drove Old Dixie Downのこのライブ盤が好きでこのLast Waltzを知ったのだが他にもいい曲はたくさんある。

でもこの曲は大切なので、何はともあれ聴いてみてくれ。

www.youtube.com